« 第27回中田地区高齢者ゲートボール大会 | メイン | 中国での悲惨な体験と帰国者の生活実態を知って »

中国帰国者や外国人出身者への支援について

【05年12月定例県議会、神山悦子県議の一般質問から(12月9日)】

 さて、戦後60年の今年も間もなく終わろうとしています。戦争中、日本が国策として「満蒙開拓団」を中国へ送り、中国に置き去りにした「残留孤児」問題は、72年の日中国交正常化まで放置され、ようやく本格的な肉親探しが始まったのは9年後の81年3月でした。

 さらに、永住帰国が本格化したのは86年からです。今年3月、厚生労働省が公表した調査によれば、全国に2,489世帯、9,115人とされています。県内には、03年4月93人と報告されていますが、いずれにしてもこの数は、帰国一世だけで、よびよせた二世から三世、四世までふくめれば、相当な数にのぼるはずです。

 まず、県内に在住している中国からの帰国者・家族数について伺います。 

 また、厚生労働省がおこなった今年3月の生活実態調査によれば、帰国後の大きな問題は“言葉の壁”でした。中でも日常会話が全くできない人は8.4%もおり、特に帰国時期が遅いほど日本語の理解が困難になり、帰国後5年以内では、半数以上が片言程度しか話せません。

 すでに50代後半から70代近くになっている人が新たに日本語を覚えるのは至難の業ではないでしょうか。県内の中国からの帰国者は、郡山市在住者が多く、帰国当初は、福島県帰国者自立支援研修センターで日本語指導もありましたが、02年8月に閉所されてからは一般市民として扱われ、生活面や精神面などで行政面のサポートもなく、日本語が話せないためにストレスによる体調を崩す人も多くなっています。

 家族に子どもがいれば、学校を休んで病院につきそい、意味が理解できているかどうかは別にしても病院側との通訳までさせられているのが実態です。現在ボランティアの方々でさまざまなサポートを行なっていますが、県としての支援が必要です。

 長野県は、県単独で中国帰国者への支援事業を拡大し、今年度からは新たに医療通訳者派遣事業を予算化しています。本県でも中国帰国者の実態調査を行ない、ボランティア団体が行う帰国者が孤立しないための交流会等に対する支援や、帰国者や家族の通院、介護保険などの行政手続きを行う際に、通訳者を派遣する事業を実施するとともに、通訳者養成も図るべきと思いますが、県の考えを伺います。

 また、県の「女性のための相談支援センター」では、外国人女性のDV被害者が増え、その通訳費用が年間の予算をオーバーする事態となっているとのことですが、予算の拡充が必要と思いますが、これはどう対応されるのか伺います。

 さらに、県内には、外国人登録者も増えており、04年12月で12,779人、県人口の0.6%を占めています。中国が36%と最多で、フィリピン、韓国、朝鮮、ブラジルなどの出身です。これら県内の外国出身者に対する日本語学習への支援、及び外国人児童生徒等への対応も必要と思いますが、どうお考えでしょうか。

答弁・生活環境部長

 日本語学習への支援につきましては、県内外国出身者が地域社会の一員として自立し安心して生活する上で重要なことから、これまでも県国際交流協会と連携しながら、市町村やNGO、ボランティアによる日本語教室開設を支援するとともに、日本語ボランティアの養成講座や指導力向上のための研修会を開催しているところであります。        
今後とも、これらの取り組みをさらに推進するとともに日本語教室のネットワークづくりを進めるなど、関係機関、団体と連携しながら積極的な支援を行ってまいる考えであります。

保健福部長

 次に、県内在住の中国からの帰国者及びその家族数につきましては、平成15年度の調査では帰国者本人が93人であり、そのうち調査に協力された91人の方々の同居家族数は115人となっております。
 次に、中国帰国者に対する支援につきましては、これまで平成15年度の実態調査の実施、孤立防止のための事業に取り組むボランティア団体への支援を行ってまいりました。
 また、帰国者や家族の通院、介護保険の認定手続等を行う際の通訳者派遣につきましては、平成11年度以降本県への永住帰国者がなく、平成15年度で終了したところですが、帰国後4年という派遣期間の制約が緩和されたのに伴い、平成18年1月から新たに派遣したいと考えております。
 なお、通訳者の養成については考えておりません。
 次に、外国人DV被害者の通訳費用につきましては、女性のための相談支援センターに入所した外国人被害者の多くが日本語を十分に話すことができないことから、裁判手続や日常生活を支援するため、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

 教育長

 次に、 外国人児童生徒等への対応につきましては、外国人児童生徒等が学校生活に適応することができるよう、必要に応じて小中高等学校に日本語指導に当たる教員を配置してきたところであります。

再質問

 それから保健福祉部長に、中国の帰国者の問題をお聞かせいただきたいと思います。この数は1世だけだと思います。やっぱり家族まで含めると郡山だけでも100名を超えているという数字があるんですけれども、この実態を15年の調査からだいぶたっておりますので、そういう意味ではもう一度キチンとつかんで外国人従事者も出身者も増えているし、そういう意味では、あらためて再調査でつかむ必要があると思いますがその点について、どうお考えでしょうか。

 さらに通訳者の支援事業、これは養成するつもりはないとおっしゃいました。しかしですね、中国からの帰国者が2世、3世くらいになりますといま成人している方もいます。そして日本語もできます。そういう方で実態も、実情も知っているし、こういう方々も含めて通訳者養成に確保してもいいんではないか思いますし、そういう意味でも養成をやっぱりやるべきだと思いますが、検討されてはどうでしょうか。もう一度お聞かせ下さい。

答弁・保健福祉部長

 中国帰国者の実態調査でございますが、当面の施策の展開においては、平成15年度の調査で十分だと考えております。県と国の調査は考えておりません。
 通訳者の確保につきましては、新たな育成をしなくても平成14年に継承いたしました自立研修センターの旧スタッフなどを活用できると考えておりまして、適格者の確保はできると考えております。
                                    

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kamiyama.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/116

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)