小森陽一氏、郡山で文学講演 宮本百合子の「貧しき人々の群」と今
【文学講演する小森陽一氏】
9日、郡山ゆかりの作家「宮本百合子の『貧しき人々の群』と今」のテーマで、ここ郡山市において東大大学院教授の小森陽一氏の文学講演会が開かれました。
主催は、近代文学を学ぶ「森の会」、コシアブラ9条の会。これに、郡山市9条の会、新婦人郡山支部「文学小組」、郡山地域の戦争と平和を考える会が協賛して開かれ、会場いっぱいの約300人が集いました。
近代文学を学ぶ「森の会」は、小森氏と20年間にわたり文学講座を重ねてきたという東京都目黒区で活動されています。この文学講演会が縁で初めて来郡されたようで、主催者を代表して会の女性が挨拶に立たれましたが、さすが味わいのある真を捉えた内容でした。
小森陽一氏は、以前に郡山で憲法の講演をされています。全国の9条の会事務局長でもあることから、憲法問題の専門家だとばかり思っていましたが、もともと専門は文学で、それも夏目漱石の研究家とのこと。
郡山の安積開拓の当時の悲惨なようすを小説にあらわした百合子の「貧しき人々の群」(1916=大正
5年発表)について、小森氏は、現代の貧困問題に通じる貧しき人々の背景にある資本主義の社会構造をこの小説にきちんと描かれていることをみごとに浮かびあがらせました。
そして、17歳の百合子がこの社会構造を確かな目で捉えていっていることを、小説に登場する人物をあげて大きく3つに分けて解明。
小森氏によって、単なる文学として作品を読むのではなく、背景にあるその時代の社会構造まで深く読み解く大切さ、プロレタリア文学のもつ生命力。小森氏の文学論に限りない魅力を感じ、私もいっぺんでファンになりました。