日本環境学会誌に、三穂田町産廃のたたかいの記録「いのち育む里山は萌え」が書評で紹介
昨年刊行された三穂田町の産廃処分場建設反対運動の記録~吉川一男著「いのち育む里山は萌え」(八朔社)2008年、2000円+税~書評が、今年6月発行の日本環境学会誌「人間と環境」の35巻2号、2009に掲載されました。
日本環境学会誌「人間と環境」は年3回発行されています。本書の書評を執筆したのは新潟大学の神戸(かんべ)秀彦氏です。神戸氏は、1章~4章までの各章の内容を要約して紹介したあと、以下のような感想をよせています。
「大要は以上であるが、一気に通読できる。多数の関わる住民運動であり、住民・行政・専門家等の登場人物は多数にのぼるが、丹念に整理されている。
これら登場人物の立場・役割・関係等が実によくわかり、何といってもストーリー展開にメリハリがある。そして、吉川氏含め1人1人の登場人物にドラマがある。
実際に運動の中にいた吉川氏の冷静な観察力・分析力・記憶力と、事実を組み立て表現する構成力・文章力によるところが大きい」と高く評価しています。
一方、このような事件の記録については、「産廃処分場反対運動は、従来、紆余曲折の道をたどり、長引く。その記録は容易でない。実際、従来、このような事件の本格的出版物による記録は、ほぼ皆無であったのではないか」と指摘し、
「本書は誠に貴重であると同時に、同様の事件に遭遇している住民にとって非常に参考になろう」と最後をしめくくっています。
私もまったく同感です。本書が環境学会の専門家の目にとまったほど、産廃処分場建設を断念させ、里山の貴重な自然環境を守ったことの意義は大きいということでしょう。まだ読んでいない方は、ぜひこの機会にご一読をお勧めします。