3日、郡山市民文化センターで映画「アンダンテ~稲の旋律~」が上映され、私も鑑賞しましたが、涙もたくさん流しました。
この映画の原作は、しんぶん赤旗日刊紙に01年9/21~02年2/28まで連載された旭爪あかねさんの小説です。すでに昨年から県内各地で上映されているので、郡山は少し遅い方でしょうか。
「ピアノと勉強の優等生として少女時代を過ごしてきた女性が、青年期の入り口で競争に勝ち抜いていく自身を失い、家にひきこもってしまった状態」から物語が始まります。
思いつめた主人公の千華(30歳)が、千葉県の水田にペットボトルに「私を助けて下さい」と書いた紙切れを詰めて置いてきます。
それを水田の持ち主の農業広瀬(46歳)が手紙を書いて、二人の文通が始まります。やがて千華は広瀬の農作業を手伝うようになりますが、田植えから稲が実り稲刈りするまでのほぼ1年間を描いたものです。
感動的なのは最後の場面。稲が黄金色に実った広い田んぼの真ん中で、千華がピアノ演奏し、その後千華を演じた新妻聖子さんののびやかな歌声が、最後まで観客をひきつけます。
今の若者たちは、少しのつまづきで競争社会からこぼれ落ちてしまかねない危うさの中に置かれています。でも、それは若者ばかりではなく全ての世代に共通になっているのではないでしょうか。
この映画にあるように、農作業は体がきつくて大変なことは私も農家生まれですからとても良くわかります。
でも、百姓たちの精魂こめた作物が実る美しい農村の田園風が心を癒してくれ、さらに“非効率的”といわれるような農作業に自ら関わっていくうちに、次第に身も心も開放されて不思議な力がわいてくるのがわかります。人間は自然の一部だと率直に思います。