3月9~10日は、県議会の各常任委員会の新年度当初予算の審査でした。生活環境部の審査では、除染対策や石炭火発・パリ協定に基づく温暖化対策などを質しました。
除染対策については、市町村の除染を実施し、それを中間貯蔵施設へ搬入するまでの一連の流れの現状について質問。国・県も除染事業を来年3月末(2016年度末)までで終了させる方針ですが、昨年12月末現在で、全体計画に対する市町村の住宅の除染実施率は、60.4%(発注は89.3%)。道路や側溝の除染は、41.6%(発注は66.9%)と半数にも満たない状況です。これで、あと1年間ですべて完了させるのは、無理がではないかと指摘。しかし、県は、「この1年間で終了できるよう頑張る」としか答弁しません。
市町村汚染の仮置場など現場に保管にされている全体量は、推計で約480万㎥と答弁。これに、国が行っている直轄除染で出た約560万㎥を加えると、実に約1000万㎥(約1㎥=1袋)となっています。そのうち、パイロット事業(試験搬送)で搬送された量は、今年度末まででわずか約4万3千袋にすぎません。
国の方針では、2年後には中間貯蔵施設を完成させ、搬入開始すると予定を示していますが、現状をみればそう予定どおりことが運ぶのかどうか。
中間貯蔵施設の用地交渉をみれば、2月末現在の契約済みは、登記上の2,365人の地権者に対し69件で約3%、面積では約1600haに対し約18.5haで約1%にすぎません。この間、元石原環境大臣の「金目でしょ」発言にあるように、環境省の対応があまりにも上から目線だとの地権者の声も紹介してきましたが、県は、すすまない用地交渉打開のため、新年度から県職員10人を国へ派遣することを決めました。
ところで、高効率石炭火発(IGCC)を開発している常磐共同火力発電所が、虚偽の排ガス量データをいわき市へ報告していた問題ついては、県が今年2月に同社に対し、再発防止対策の徹底とその進捗状況を文書で報告するよう厳重に求めたと答弁。
また、同社が開発した高効率石炭火発(IGCC)でもCO2の排出量はLNG・液化天然ガスの2倍となることを指摘。昨年の「パリ協定」に基づき、県としてIGCCはすすめるべきでないと求めましたが、県企画調整部のエネルギー課は、IGCCの火力発電所を推進していく考えです。
イノシシ対策については、原発事故避難で5年間が経過する中で、人が住んでいない避難地域での野生動物の生態系がすっかり変化していることを指摘し、それに見合った対応策をとるべきと求めました。