2/16、郡山のビッグパレットで開かれた、環境省と共催の「第1回放射線の健康影響に関する専門家意見交換会」を傍聴しました。この放射線に関するシンポジウムは3回シリーズで開催されます。
第2回は2/23(土)「食べる」をテーマにコープふくしまからの報告を二本松市男女共生センターで。第3回は「運動」をテーマに福島市で開催される予定です。県民の傍聴はできますので、詳しくは県へお問い合わせ下さい。
県内には、福島県や各市町村には放射線の専門アドバイザーがおりますが、一堂に会して意見交換するのは初めてとのこと。実に、全国の各大学や専門機関から来県していることにあらためて驚きましたが、これまでほとんどなかったようです。
今回は、福島大学共生システム理工学類の筒井雄二教授と、福島医大神経精神医学口座の矢部博興教授の2人の講演があり、それに対する質疑という形で意見交換されました。
筒井教授は、「原発事故が引き起こした子どもたちのストレス・大人たちのストレス」の講演で、原発事故による放射能に対するストレスを、母親などの行動を数値化して調査結果にまとめたユニークな報告でした。
矢部教授は、精神医という立場で「福島のメンタルヘルスの現状とケア」と、地震・津波被害受けた相馬市での精神病患者の被災者支援にあたった経験からの報告でした。
特に、興味をそそられたのは、筒井教授の報告です。原発事故による心理的ストレスは、「長期にわたる恐怖や不安への曝露」、「自由な活動の制限」による心理的ストレスが問題であり、通常、災害時に問題にされるPTSD(心的外傷後ストレス障害)と質的に違う対応が求められていると指摘しています。
その調査方法もユニークです。自主避難者が多い福島県の中通り地域を調査しましたが、4~12歳の子どもを持つ保護者から、例えば洗濯物を外に干すか、干さないか、県外産の野菜を買うか、買わないかなどのアンケートに答えてもらい、それを数値化し、グラフに表しました。
また、筒井氏からは「科学的にまちがいがないと説明しただけでは、住民の不安は取り除かれない」、「ストレスの原因を取り除くこと。そのための除染、保養など」「子どものストレスは、屋外でおもいきり遊べないことなので、保養や屋外遊びが必要」とも指摘されました。
会場からのアドバイザーからの意見交換で、専門家同士も放射能に対する考え方や受けとめの差について互いに認識が深まったようです。今回は、その意味でも実り多いシンポジウムでした。