31日、冤罪事件などを支援している国民救会郡山支部は、布川事件の元被告の桜井昌司さんと杉山卓夫(たかお)さんを囲み、再審裁判勝利のお祝いと、2人のドキュメンタリー映画「ショウジとタカオ」の上映前夜、懇親会を行ないました。
布川事件は、当時20才のかれら2人が、別件逮捕されてこの強盗殺人事件の犯人とされたえん罪です。警察による自白を強要され認めてしまったのですが、獄中から無実を主張したものの仮釈放で出所するまで実に29年間も投獄されました。仮釈放で出所した時は、すでに49歳でした。
井出監督(女性)は、仮釈放で出所した彼等を支援者が迎えるところから自分のビデオカメラで記録しています。最高裁で勝利判決が出る直前までの、14年間にわたる記録を2時間半の映画にまとめたものです。検察庁への再審請求が3回も棄却されたために、この記録は14年間にも及びました。
桜井さんと杉山さんは、弁護士や支援者らとともに、この長いたたかいを仕事もし、家庭も持ち、苦しみながらも明るくたくましく生き、昨年6月まちにまった勝利判決が出て、ようやくえん罪がはれました。
一方で、それを粘り強く、軽妙なやりとりをかわしながらビデオに納め続け、これらの膨大な記録をたった1人で映画にまとめあげた井出監督もすごい人です。
桜井さんは「国家権力によって、私の人生は大きく変えられてしまいました。今でも検察庁に対する怒りがあります。しかし、これからは、えん罪などで苦しんでいる人たちを支援していきたい」と挨拶されました。
杉山さんは「子どもが生まれて親の気持ちがよく分かった。小学高学年になったわが子との日常生活の幸せをかみしめている。子どものためにもこれからも頑張って生きていく」と子煩悩な素顔をのぞかせました。
それにしても、国家権力と国策という点では、えん罪も福島の原発事故も共通したものがあるように思います。しかも、「責任をあいまいにする」という点においても・・・です。
無期懲役からの再審無罪判決になった事件は、北関東連続女児殺害事件のひとつである足利事件に次いで、以来の1年2か月ぶりです。
布川事件や足利事件(但し、1996年に起きたパチンコ店幼女連れ去り事件の犯人は、無期限に起訴することが可能)は、公訴時効が成立してしまったのが残念です。
一方、東住吉事件(失火の疑いがある)や東電女性社員殺害事件は、現在も裁判中となっています。