21日、岩渕友参院議員が参院議員に当選してから今月で1年になりました。通常国会が終了し、各団体を訪問して懇談しました。私と阿部裕美子県議が同行しました。
午前中は、医師会、JA中央会へ。午後は、県商工会連合会、県信用保証協会、福島商工会議所を訪問。さらに、夕方には全健総連・福島建設ユニオンからの要望を受け、新婦人福島県本部を訪問し懇談しました。
〇医師会では、来年の地域医療構想に基づく地域医療計画の策定や医療スタッフの確保について懇談。地域の民間病院はどこも医師の高齢化と後継者不足が課題であること。在宅医療やかかりつけ医が求められるが、こうした事情から、今後どこが、誰が担っていくのかが深刻な課題ではないか。また、人工透析の医療に関しても、南相馬市立病院が受け入れるとなったものの、看護師や臨床工学機器を扱うスタッフの確保が難しいのはどこも同じ。
ところで、周産期医療に関して、今年8月から県の委託事業で「産後うつ」対策として、今回初めて産科医と精神科医がコラボして対応することになった。しかし、ここでも産科医と精神科医不足は依然として続いているとのこと。
〇JA中央会では、原発事故による農地の除染が実施されたが、地力の改善をしなければならない状態。風評被害による農産物の価格低迷が続いており、後継者が戻ってこないこともあり営農再開までには至っていない。まして、新しいものでと思っても、賠償の対象にはならず、経費への補償もない中で躊躇しているというのが現状。こうした原因をつくったのは誰なのか。東電も国も原発事故を起した責任をとろうとしていない。
また、山本幸三地方創生担当大臣がいわき市に視察した際、風評払拭に向けてJA全中、全業連、全国商工会連合会、日本商工会議所の4団体が5月に協定を締結する方針を示したが、海外だけでなく国内にどう流通させていくのかも課題ではあか。風評被害対策をいうのであれば、「米の全袋検査」はその前提である。流通業界が買い上げてくれるのはこの検査をしているからで、今後も継続するよう国に要望している。イノシシ対策についても、焼却などの処分費用への助成をぜひ検討してほしいとの要望が寄せられました。
〇県商工会連合会では、会員がいる「区域再編後の事業再開状況」(6/20現在)の資料を示されましたが、避難解除された区域での事業再開は62.3%でした。逆に言えば、38.7%が未開催ということ。4割近くが事業を再開していない現状です。損害賠償についても、生業復興のための業種転換が認められず、「収入を得るため営業努力をすればするほどダメになるのが、この賠償だ」と。
〇県信用保証協会では、これまで地域経済や雇用の確保などを担っている県内の中小企業に対し、資金面でのセーフティネットなどで大きな役割を果たしてきたが、震災・原発事故後は、協会融資の半分は災害復旧向けである。風評被害による会津の観光への影響や中通りの建物被害もある。事業継承がやっとで、人件費など固定経費は増えている一方で「設備投資」は少なく、「経営拡張」はあまりない。更新をためらっているというのが現状。
〇福島商工会議所では、第1期の4~6月の「中小企業景況調査結果が今年7月に発表された資料が示されました。これによると、全国・東北では改善傾向にあるのに比べて、管内では需要の停滞や人手不足、原材料の価格・下請け単価の上昇といった経費の増加要因により減少・悪化傾向にあると指摘。担当者は、「これらの要因は、除染がピークアウトとなり減少したことや人手不足が深刻。東電の賠償も打ち切られれば、いっそう先行きの不安は高まる。総じて、今後も厳しい」と述べています。ただ、福島市は空き店舗やシャッター通りはないそうです。商工会議所として、年間30万円を5年間補助する部分創業支援制度をつくり補助しているとのことでした。
〇全建総連福島建設ユニオンと懇談し、建設国保の育成・強化などの要望書を受けました。公共事業の設計労務単価を引き上げたというが、3次、4次の下請になるほどピンハネされ、実際には賃金の上昇になっていない。大企業は37%上昇した中で、地元下請けは7%アップしたにすぎないこと。さらに、今年3月に改正されたが、公共事業への参入の際、5人以上、社会保険、雇用保険に入っていることとされたが、1人親方にとって、これら福利厚生の費用負担は重い。何らかの補助制度をつくってほしい。また、現場の大工は高齢化しているが、賃金の低さや暑い中での肉体労働という労働条件では後継者になる若者は少ない。今後、オリンピックで地元の仕事は減少していくだろうしし、住宅メーカーは新築だけでなくリフォーム事業にも入ってきているのが現状との声でした。
◆この日訪問して共通して出されたのが、原発事故後、人手不足はいっそう深刻になり、後継者不足を含めてて大きな課題になっていること。また、安倍政権への厳しい批判が率直に出されて、賠償や原発事故への対応では、「ていねいに説明と言うが、ていねいにウソをつくということか」との意見も複数の団体からありました。なるほど、よく見ているなと感心しました。