高橋ちづ子衆院議員、ふなやま由美比例予定候補が県内の医療体制の現状・課題を調査/県病院協会、県立医大を視察。県庁で地域医療、医療人材対策について意見交換

4日、高橋ちづ子衆院議員、ふなやま由美東北比例予定候補が、県内の医療体制の現状と課題について調査。県議団から神山、阿部、宮本の3人の県議が同行しました。今回は、県病院協会と福島県立医大を訪問し、意見交換。また、県庁で保健福祉部地域医療課と医療人材対策室から説明を受けました。◆福島県病院協会では、横澤事務局長と懇談。県病院協会は、大震災・原発事故後「東電原発事故被災病院協議会」(代表:前原和平氏)を開催し、そこで出された意見をまとめた冊子を毎年発行、国等にも要望書を提出。

今年も7月14日に、厚労大臣、経産大臣、文科大臣あてに要望書を提出。診療を再開したいずれの病院においても「経常収支は赤字」であり、高齢者を中心とする医療需要に対して「病院のスタッフ不足により十分な医療を提供できていない」と現状を訴え、相双地域の医療福祉体制維持のためには「東電による賠償の継続が絶対不可欠」と強く要望し、病院再開への人件費高騰対策も求めています。また、文科省には、救済されない新たな賠償に対応する「中間指針」の見直しを求めています。

◆県立医大では、①県内の医師確保と派遣の状況、②国際医療科学センター、③県民健康調査の結果と今後のあり方、④子ども・母子医療について調査。医大では、教員の身分のまま県内の医療機関に医師を派遣するしくみをつくり、今年度は112名の枠で派遣。また、県の委託・補助事業で、県外から招へいした医師を医大の教員として採用し定着を図ることや、寄附講座では災害、救急、産婦人科、周産期・小児科などの支援講座を開設していると説明。

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このあと、医大敷地内に建設されたふくしま国際医療科学センターの先端臨床研究センター(2015年6月に本格稼働)を視察。国内初の最高精度の診断用画像機器PET/MRIと、医療機関としては国内初の治療用放射性薬剤の開発機械中型サイクロトロンを見学。しかし、高額な機器導入費用とランニングコスト、また高い医療費を負担できる患者はどれくらいかとも考えてしまいます。

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医大付属病院の「みらい棟」では、1Fの災害医療・高度救命救急センター、3Fの総合周産期母子医療センター、5Fのこども医療センター(小児専門)を見学。私は、県議当選後に周産期医療や県立こども病院の設置を何度も質問で取り上げてきましたが、震災後に完成・整備されてからは初めてです。

◆県庁では、保健福祉部地域医療課と医療人材確保対策室から説明を受けました。震災以降の特徴として、年代別では30~40代の医師が減少し、60代・70代・80代の高齢医師が現場を支えていること。人口10万人当たりの医師数も震災前から全国最下位クラスでしたが、事故後は全国平均と比べても800人不足しており、特に、県内では相双地域が格段に減少し回復していない現状が数字ではっきり示されました。看護師も同様の傾向です。

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県は、医大や看護協会とも連携して医師確保や看護師不足対策をすすめ、施設整備費やの助成や奨学金制度の活用などを用意し県内定着を図ることで、一定の成果が上げたとはいえ、現状回復に至っていないこと。国は、避難地域の医療復興基金として今年度から4年間の236億3千万円の基金を用意しましたが、あと4年で浜通りの医療が回復できるのか、介護人材不足も深刻と率直な意見が出されました。

浜通りを含めた福島県の医療福祉の回復がなければ、本県の復興はありえません。賠償の継続とハード面ばかりでなく、医療・福祉の人材確保こそ、今後の本県復興にはいっそう必要であると実感した視察でした。