今年1月、郡山市内の認可外保育所、東北ラサール幼知園で、1歳の津久井りのちゃんが保育時に死亡するという痛ましい事故が起こりました。
原因は、担当保育士が泣いていたりのちゃんを布団にうつぶせにし寝かせ、頭から4つ折りにした大人用の毛布をかけ、さらにその上に布製の円筒(まくらのようなもの)の重しを2本のせて40分間放置していたことによる窒息死(10年5月22日付けの起訴状より)でした。
りのちゃんの両親の津久井さん夫妻は、二度とこのような事故を起こさないように、事故の事実を究明し、その責任の所在を明らかにしたいと決意し、提訴しました。
その第1回目の公判が、去る7月9日郡山地方裁判所で行なわれ、私も傍聴に参加しました。最初なので全体で30分程度と大変短い時間でしたが、津久井さん夫妻はそれぞれ心情を述べることが許可されました。事前に裁判長に要請していたものの、認められるかどうかはわからないと聞いていたのでほっとしました。
すでにマスコミも注目していることや、当日も抽選になったほど支援する会などの傍聴者であふれていたことなどから、裁判長が判断したものと思います。
津久井さん夫妻は、それぞれりのちゃんが生まれた時の喜び、りのちゃんへの深い愛情、そして保育所へ預けたときのようす、預け始めてわずか3日目でわが子をなくした深い悲しみ、そして死亡原因の真実を知ったときの驚き、怒り、悔しさなど、しっかりした態度で冷静に切々と心情を述べました。
これに先立ち、3人の弁護士からこの裁判を提訴した理由とこの事故の背景にある問題点などについて陳述がありました。第2回目の裁判は、9/3の予定です。
公判後、会場を移して津久井さん夫妻が弁護士とともに記者会見を行ないました。また、支援する会の集会も開かれました。
津久井さん夫妻もここでは、ほっとされたのでしょう。二人ともりのちゃんのことにふれると涙でいっぱいに・・・。こちらももらい泣きしてしまいました。
この事故の背景には、郡山市が公的保育所を増やさず、認可外保育所に約4割も依存し全国でも高い位置にあること。市内の認可外保育所では、ここ数年間で3人も赤ちゃんが死亡していたこともわかりました。
一方、東北ラサール幼知園(ひりゅう保育園)は、過去にも死亡事故を起こしていたというのですから、より責任は重く、また市もわずかとはいえ補助金を出している保育所なのですから無関係ではすまされないはずです。
行政も経営者もこの問題に真摯に向き合い、二度と痛ましい死亡事故を起こさないためにどうすべきかが問われていると思います。