23~25日、県議会に企画環境常任委員会の県外調査で北海道を視察しました。台風接近で心配しましたが、無事日程どおり行ってきました。今回は、苫小牧、とかち鹿追町、札幌市北海道庁の調査です。23日の1日目は、千歳空港から①石油資源開発(株)の勇払LNG基地、②同社の石井副社長が代表を務める苫小牧市にある苫小牧CCS実証試験センターを視察。
苫小牧市にある苫小牧工業団地は、さすが北海道、海辺に広がる広大な工業団地です。石油資源開発(株)は、2020年までの操業予定で福島県新地町にLNG受け入れ基地と既存のガスコンロパイプラインへ接続パイプラインを建設する「相馬プロジェクト」を建設する会社です。現在、相馬港では巨大なLNG基地を建設していますが、新地町にLNG受け入れ基地をつくり宮城県以北へLNGガスをパイプラインを敷設する計画です。
私は、パイプラインの管の安全性などについて質問。特殊な管ですが、その実物が展示されていました。
②このあと、苫小牧工業団地へ移動。なんと、この会社の副社長が、日本CCS調査(株)の代表者でした。経産省の公募「H24年度二酸化炭素削減技術実証試験事業」に応募し委託先に選定され、2020年までに実用化の実証をするとしています。実施主体は、この会社を中心に、経産省・環境省、大学、研究機関、民間企業が関わっています。
CCSとは、工場や発電所などから発生するCO2を大気放散する前に回収し、地中貯留に適した地層まで運び、長期間にわたり安定的に貯留する技術です。2011年から2050年のCO2排出の14%を担うと試算され、2012年度から苫小牧市にあるこの施設から、沖合に向かって1000m~3000mの海底に敷設した配管にCO2を圧入するという日本初の実証実験とのこと。
この背景には、2008年7月の洞爺湖サミットで、2020年までのCCSの広範な展開を始めるため、2010年までに世界的に20の大規模なCCS実証プロジェクトを実施するとなって、日本では全国115ヶ所の候補地から絞り込み、断層がないと苫小牧のこの地が選定されたとのこと。
でも、実は、008年度からすでに福島県勿来・いわき地点で3年間、過去の天然ガス田の開発により取得したデータを活用して貯留槽の評価が行われていたほか、実証プロジェクトに必要となるCO2分離・回収設備、圧入設備の概念設計などを実施していたのです。2009年度には海底パイプライン敷設の可能性をさぐるパイプラインルート調査も実施していたのですが、3・11の東日本大震災で中止されました。
しかし、CO2削減のために税金を使ってわざわざこれだけの大型設備と費用をかけて地層に埋める必要があるのでしょうか。企業活動への批判をかわすねらいはないのでしょうか。