「只見川発電用ダムの水害を軽減する減災対策について」の要望

開会日の本会議終了後、「只見川発電用利水ダム群の影響による水害被害を軽減する減災対策について」、住民会議のみなさんから要望を受けました。斎藤勇一会長(元金山町長)から要望入内容の説明を受けました。

原発事故があった2011年、新潟・福島豪雨の7・29只見川ダム被害から6年目を迎えます。山津波と呼ばれる大きな災害で、只見町293棟、金山町107棟、三島町3棟、柳津町26棟、会津坂下町16棟の浸水被害を受けました。

きょうの要望では、同様の水害があれば、再び浸水被害は必至だとして、減災対策やJR只見線の復旧費の負担軽減など、7項目にわたる要望を受けました。

まず、ダムの堆砂により河床が上昇し、浸水被害が拡大したことを認めるべきと指摘していますが、これは、ダムを管理している東北電力が豪富のためとして昼間ダムから放水したこと。さらに、夜になってから電源開発のダムも方放水ことから只見川が氾濫し大きな浸水被害を受けたのです。

その要因として、住民の会は発電を優先して住民の安全を考慮しなかったことや、建設から60年たつダム内の堆積土砂を除去していなかったという、電力会社の対応の問題もあったと指摘しています。その意味では「人災」ではなかったかとの指摘は、当然ではないでしょうか。しかし、電力会社は未だに人災を認めず、県も「自然災害」による被害だったとの認識にとどまっているのです。電力会社の責任問題について言及しない県の対応も問題です。

また、設計洪水流量は、河川整備流量よりも小さいのです。しかし、河川法44条に照らせば治水義務がない発電用利水ダムであっても洪水時に「従前の河川の機能を維持」ができるようにする必要があると指摘。7・29の実際の洪水量は、県の河川整備目標流量よりも多かったのですから、河川法や河川管理施設等構造令の規定からも問題です。

2015年8月の国の社会資本整備審議会河川分科会の答申にあるように、気候変動に適応した減災の地域づくりという視点からの河川整備事業を求め、そのための県予算確保も要望しています。

さらに、ダム新時代にあった流域住民の安全を重視した発電用利水ダム群の管理運営とすること。ダム別に操作管理が違うこと、河川も国と県が一部指定区間の河川管理と違うこと。その結果、洪水発生での対応における責任のなすりあいになっていることから、河川の一元管理、ダムの実質的な一元管理も求めています。

いずれにしても、ダムを建設した電源開発と東北電力の電力事業者自身が、住民の安全対策に責任をもつべき県からも、電力事業者にこれを求めるべきです。

もう1つは、被害を受けたJR只見線の復旧についてです。上下分離方式による負担割合が提示されたが、流失・損傷した橋梁の復旧・補修の総工事費は81億円を、JR東日本が21億円、県が基金で21億円、残り33億円。また、復旧後の維持管理の約2億円の運営費を、沿線市町村も負担を毎年求められるが、この負担は大変重いと訴えています。

ここでも、地域住民の足の確保という観点から、JR東日本全体では黒字なのですからJR東日本にも負担を求めるべきです。また、国もJR東日本が黒字企業だからとの理由で、災害復旧費を出さずにJRまかせにしているのも問題です。