県議会全協で、「影響はブロックされているが、物理的にはブロックされていない」、「再除染ではなくフォローアップ除染」などと、詭弁を繰り返す国

 25日、国の省庁を招致し県議会の全員協議会を開き、原発汚染水問題と除染・賠償問題について各会派が質疑しました。放射能汚染水問題は私が11分の持ち時間で、除染と賠償問題は阿部裕美子県議が13分の持ち時間で質問に立ちました。

原発汚染水問題では、経産省資源エネルギー庁の糟谷対策監と原子力規制庁の山本審議官が答弁。私は、9/ 17に共産党が発表した「汚染水問題の危機打開のための緊急提言」の立場から、国が責任をもってというのであれば4つの点から転換が必要と求めました。DSC_1448                       【答弁する原子力規制庁山本審議官】

  地上タンクからの汚染水漏れが次々と起こり、原子力規制委員会がレベル3としたことを受けて、知事は8/20「国家の非常事態だ」と述べ、政府も9/3に汚染水問題に関する基本方針を出して国が前面に出るとしています。そこで、まず、汚染水対策の大前提は「放射能で海を汚さない」とすべきとエネ庁と規制庁に見解をただしました。

 その点は否定しなかったものの、田中規制委員長が「海へ放流してもやむを得ない」などと発言していたのは重大だと規制庁をただすと、「今の原子力等規制法では、濃度か量などを一定以下に管理すれば放出することは法律認められている」など最初の答弁とは矛盾する答弁をしました。

 【答弁する経済産業省資源エネルギー糟谷(かすたに)汚染水対策監】DSC_1450

   

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また、9/7に安部首相がIOC国際オリンピック総会で「0.3k㎡は完全にブロックされている」と発言した点について質問。ハの字型の港湾の先端とシルトフェンス(カーテンのようなもの)は外洋とつながっている。しかも、1日50%ずつ入れ替わっている(干潮と満潮があるので)と。

 パネルで指摘すると、「物理的には外洋に流れています。影響がブロックされていると安倍総理は述べた」と。こんな理解しがたい詭弁を繰り返したのです。

その理由は、宮城県沖から千葉県沖まで外洋の海水モニタリング調査をしたが、結果は基準値以下だった。「では、ストロンチウム90などのベータ線は全部調べたのか」と再度質すと、まだ時間がかかり半分くらいしか公表していないが、全ベータから推測するとそれも低い数値だったというのです。

 DSC_1462現地スタッフの体制についても質しました。エネ庁は14人(うち純増は8人)、規制庁は11人しかいません。その一方で規制庁は再稼動審査に80人(さらに20人を新規募集中)もいます。

 「再稼動を中止し、福島第一原発近くに現地対策本部を設置し人も金も増やすべき」と求めましたが、明言しません。

さらに、収束作業や高い線量の汚染水対策にあたっている原発労働者の労働条件の整備と被曝低減対策を求めました。

最後に、もはや東電には事故対応能力も当時者能力もないことは明らかであり、「東京電力を破綻処理させるべき」と求めましたが、エネ庁は、むしろ破綻させず法的整理をしないことが国民負担を最小にする仕組みなどと答弁しました。

 全協の後半の除染・賠償問題については、阿部裕美子県議が質問。まず、賠償問題では、精神的賠償の対象や年齢引き下げ、財物賠償は再取得可能となるように指針の見直しを文科省の田口室長に求めました。DSC_1502

また、東電の賠償金の支払いの悪さを指摘。文科省は、賠償指針の見直しは検討しているとしながらも、個別賠償はADRに委ねる姿勢をとっています。

DSC_1499さらに、阿部県議が除染の問題で「再除染を」と求めたのに対し、福島環境再生事務所の関谷所長は、決して再除染とは言わず「フォローアップ除染」と述べつつも、再除染は否定しませんでした。