県民健康管理調査の有識者検討委員会をめぐる問題

9月県議会の一般質問の2日目の朝の毎日新聞は、県の県民健康管理調査検討委員会が、事前の準備会で意見のすり合わせをしていたという報道は、その後を含め計3回ありました。

共産党県議団は、3日当局に説明を求めるとともに、知事へ緊急申し入れを行ない、徹底した情報公開と、会議の持ち方の改善、県民健康管理調査については県民目線で丁寧は対応を求めました。村田副知事が応対しました。

さらに、連休明けにも総務部に設置された調査委員会の調査報告の結果が福祉公安常任委員会に提出され、この日の委員会で調査結果を報告し、資料も提出。

県は、調査の結果、県民に疑念を抱かせてる事態になったことについては謝罪したものの、「事前の調整はなかった」と結論づけました。そして、透明性の確保と県民目線での県民健康調査などの改善方向を示した。

一方、県議会の対応にも問題でした。わが党県議は、福祉公安常任委員会に所属していないため、9日の委員外発言を求めましたが、委員長(公明党)は拒否したのです。私たちはやむなく委員会を傍聴し県の報告をきました。その日の委員会終了後、各会派に説明もありました。

ところが、調査した資料等については、委員以外は非公開としたのです。マスコミ含め私たち傍聴者は、委員会室から締め出されてしまったのです。

県議会の対応としては、今回の報道が県民へ与えた影響からみても、議会全体で真相解明するという立場に立たたなかったことは、議会の自殺行為に等しいものでした。

私たちは、11日の議会閉会日、議長へ継続調査の申し入れを行ない、県に対しても全議員への資料開示を求める緊急申し入れをしましたが、最終本会議で副知事がこの問題についての補足発言で終了としました。

【11日、議長室へ向かう党県議団】

【斎藤議長へ継続調査を申し入れ】

         【県保健福祉部菅野部長へ資料の公開等を申し入れ】

こうした経過をみても、県は事前の準備会で意見調整をした事実があったといわざるをえません。

県民の健康を長期に管理するために重要な「県民健康管理調査」については、県民の信頼回復は欠かせないことを指摘し、県民の目線に立った健康調査や甲状腺がん検診の体制の強化を求めました。

 

閉会日~議案に対する反対討論で登壇/社会保険二本松病院の診療体制の維持の意見書と聴覚障害者情報提供施設の請願が会一致で採択に

 11日、9月県議会の最終日、反対討論で登壇。今議会に提案された知事提出議案3件と議員提出議案の意見書・請願2件・決議1件について意見を述べました。

知事提出議案の「県税条例の一部を改正する条例」と、公明党が提案した「税制全体の抜本改革の確実な実施を求める意見書」は、いずれも今年8/10に成立した消費税増税法に関係するものです。公明党の意見書は、民主・自民とともに3党で強行採決した法案ですが、『実施にあたっては低所得者への緩和策を求める』というものです。

消費税増税法は、実施が2014年4月であり、県がすぐに条例改正する必要はないこと。そもそも消費税増税は、所得の低いほど負担が重くなる逆進性があること。被災地のくらしと経済を直撃し、復興の足かせになるうえ、財政再建にもならないこと。わが党の「消費税に頼らない別の道がある」の提言を紹介し、反対意見を述べました。

また、民主党提案の「『革新的エネルギー・環境戦略』の実効性の確保を求める意見書」は、大飯原発の再稼動、大間原発の建設再開、核燃料サイクルなど、原発固執政策そのものです。知事も県民も求めている「原発ゼロ」と、再生可能エネルギーや低エネルギー社会の推進こそ、福島県議会から国へ発信すべきと指摘しました。

東京オリンピック招致を支援する決議については、『わが党はオリンピックの開催そのものには反対しないが、東日本の被災地の復旧・復興はようやく著についたばかり。首都圏も大規模地震発生が指摘されていることから、4000億円の開催準備金は、首都圏の地震・防災対策へあてるべき』との都議団が反対した意見を紹介し、この決議には反対しました。

一方、JAから提出され自民党が紹介の「TPP交渉参加に向けた取組みを断念することを求める意見書」(農民連提出の同主旨の意見書も含めて)は、採択されました。また、「オスプレイの配備と飛行訓練中止」と、「所得税法56条の廃止を求める意見書」は、継続扱いになりました。

そして、 「二本松社会保険病院の診療体制の維持を求める意見書」と、聴覚障害者団体から出された聴覚障害者情報提供施設の早期設立を求める意見書」は全会一致で採択となったことはうれしい限りです。あとは、国や県の実施が求められます。

聴覚障害者団体のこの意見書は、わが党が紹介議員になり12年前にも全会一致で採択されていたものです。今議会、被災した障害者支援について宮川県議が質問。県は今の体制が法的に満たしていないことを認め、設立に向けて障がい者団体と話合いをすすめると答弁しました。

   【請願が可決された閉会後に、お礼にみえた聴覚障害者団体のみなさん】

        【みなさんと記念に写真を】

宮本しづえ県議が総括質問

 10日、宮本しづえ県議が、県民健康管理調査、除染対策、賠償問題の3項目について15分の持ち時間で1問1答の総括質問に立ちました。

総括質問は、これまで2月県議会(2日間)だけでしたが、今期から9月県議会も1日実施することになりました。これも議会改革の1つです。

県民健康管理調査については、マスコミ報道で指摘されたような会議の持ち方に関して認識を質すとともに、県民不信を招く背景には、県民の放射能に対する健康不安が広がっていることを指摘。

宮本県議は、甲状腺がん検診の判定で、特にA2と判定された県民への説明を丁寧に行なうとともに、二次検査が必要とされたB判定を受けた県民には、少なくても1ヶ月以内に行なえるよう、全国のあるいは世界の英知を集めて検査体制を充実するよう求めました。

除染については、県内必要住宅戸数のわずか0.7%しか終了していないこと。現場の汚染状況に沿って市町村が決めた方法で除染できるよう、国の除染ガイドラインの柔軟な対応と財政確保。

除染事業を地元事業者への直接発注するしくみと、二本松市のように、子どもと妊婦のいる世帯を優先して除染するやり方を県のイニシアで行なうべきと求めました。

また、賠償問題では、避難指定区域を線量で3区分に再編することと、賠償とをリンクさせていることは問題だと国のやり方を批判。この指摘には、他会派からも「なるほど」との声があがりました。

さらに、7月に国が示した財物賠償では再取得できないことを質しましたが、県は一定の基準が示されたと問題視していません。

賠償と避難区域の再編の見直しも、住民合意が基本です。事故を起こした国と東電が、線引きや分断を持ちこみ、どちらかがダメなら支払いもしないなどとは傲慢であり、主客転倒も甚だしい。