20~22日は、2つの特別委員会の県内調査があり、私と宮川県議が委員になっている「産業振興・雇用・県土再生対策特別委員会」は、県内自主避難者連絡会と懇談したほか、原発避難を指定された浪江町と帰村宣言をした川内村を訪問し現状をうかがいました。
【浪江町の馬場町長】
浪江町の馬場町長は、「東電の賠償支払いについて、支払いした事例を公開してほしいと要請してもやらない。財物補償の中間指針の基準を見直し、再取得できるような補償をしてほしい」。
「子どもたちの健康支援をと町民健康手帳を配布したが、将来、放射線による病気に国が補償してくれるかどうか。広島や長崎でも原爆手帳は、爆心地から半径3km内しか認めようとしなかった」と述べ、これを担保するような法整備をお願いしたいと要望されました。
【川内村の猪狩副村長】
【住宅と周辺の森林まできれいに除染した川内村】
川内村の遠藤雄幸村長は、今年2月に帰村宣言し、4月に役場を戻して半年以上たちました。空間線量も0.1~0.2マイクロ程度と低く、住宅とその周辺の林地、畑地もだいぶ除染がすすんでいました。
工場などの企業も何社か誘致が決まり、スーパーの進出も決まるなど、帰村できる条件はだいぶ整備しているようでしたが、病院や福祉施設、そして実際に雇用がうまれるまでにはまだ時間がかるようです。そのため若い子育て世代の帰還はまだこれからのようでした。
一方、伊達市では避難勧奨地点となっていた小国地区の除染仮置き場の現場を視察。線量は、フレコンバッグ付近は4マイクロシーベルト/時ですが、2~3m離れると1.3~4くらいになります。1軒あたりの除染作業は、農家が多いので1000㎡で6~7人の作業員で1週間かかるとのこと。しかも、1軒あたりフレコンバッグで50袋にもなるというのですから、その仮置き場の確保もなかなか大変です。
【小国地区は、一見しただけでは線量が高い地域と思えない自然豊かな阿武隈山系の農村地域です】
一方、双葉地方市町村の原発避難者を受け入れているいわき市も訪問し意見交換しました。2万3~4千人の避難者、原発作業員や除染作業員を含めると3万人になるそうで、住宅の不足、病院の混雑、交通渋滞など、市民感情のあつれきが生じている深刻な事態です。
さらに、農商工連携や海外へ販路拡大している郡山市中央工業団地内の「宝来屋」と、県の企業立地補助金を受けたいわき市工業団地にある古河電池(株)の2企業を訪問。私は、製品の説明とともに、雇用状況などうかがいました。
数10億円もの企業立地補助金を受けても雇用はわずか300人台です。今後毎年10~多くて20人の新規雇用で、10数年でわずか170人増えるだけです。他の県議からも補助金の割には、意外に少ない雇用人数だなとの声が上がりました。
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ところで、視察初日の20日に、会津若松市内で県内自主避難者連絡会との意見交換を行いました。自主避難者連絡会代表の酒井信裕さんと、県内各地に母子避難しているお母さんたちも多数参加。
県内自主避難者は、線量が低い会津若松市に避難している人が多いのですが、同じ市内で線量の低いところへ母子で避難している人は、「悩んだ末に市内の線量の低い所へ母子避難したが、県外に避難すればよかったのですか」と涙声で訴えられました。
県が11月になって公表した県内自主避難者への支援は、11月1日現在子どもや妊婦のいる世帯、昨年へ遡及はしない、同一市町村内は支援しないとしたため、会員の該当者は現在1世帯だけとのこと。
また、家賃補助の上限が6万円以内としていますが、「そんな物件はいくらさがしてもみつからなかった。古い物件に入居したり、もっと高い家賃の部屋を借りで入居している人は、「耐震対応でないからとか、6万円より1円高くても該当しないと言われた」、「ガソリン代や二重生活による新たな負担は月10万円以上になる」などの厳しい現状が次々と・・・。
県も市町村も線引きせず、柔軟な対応をすべきです。原発事故による避難は、これまでの災害では対応できない事例がたくさん発生しているのです。
下のチラシは、 スーパーなどに置いてもらったりしている来月の交流会のお知らせです。ネット環境がない会員も多く、自前の費用で作成し、ケータイなど使えるツールで会員がつながっているそうです。
この懇談の場面は、マスコミ各社も取材にきて、酒井代表が特別委員会の委員長へ要望書を手渡すようすが、お昼のNHKテレビで放映されました。